理学療法士のパラスポブログ

障がい者スポーツを通してより良い社会の実現を!理学療法士に何ができるか考えます。理学療法士/中級障がい者スポーツ指導員/クラシファイヤー

IPC Classification Coordinator

国際パラリンピック委員会では様々な仕事の求人が出ています。

その中に

Classification Coordinator

の求人が!

https://www.paralympic.org/sites/default/files/document/190226131703108_IPC%2BClassification%2BCo-ordinator.pdf

 

主な仕事は

国際パラリンピック委員会が管轄するスポーツにおけるクラス分けの遂行や国際基準の遵守に向けた補助を行なったり、研修生育成のコーディネートを行なったり、科学的根拠に基づいたクラス分けに向けた研究をサポートすること

など。

めっちゃ面白そう!

活動場所は

ドイツ・ボンにある国際パラリンピック委員会の本部!

ドイツ暮らし、憧れます。

 

条件は

マイクロソフト・オフィスが使える

英語でのコミュニケーションスキル

締め切りを守る、マルチタスクができる、真面目に働く

など書いてありますが、一行目に

Master degree in sports science with major orientation in biomechanics or kinesiology

バイオメカニクスや運動学を主としたスポーツ科学での修士号

とあります。

 

う…やっぱりお前か、「修士号」…

今となってはそこが一番ハードルが高い…

発生学 embryology

以前の記事でパラリンピックに出場できる10種類の障害について紹介しました。

http://yukickoff2016.hatenablog.com/?page=1546871312

  1. Impaired muscle power:筋力低下、脊髄損傷や二分脊椎、ポリオなど
  2. Impaired passive range of movement:他動的関節可動域制限、先天性関節拘縮症など、関節炎のような急性症状は含まれません
  3. Limb deficiency:四肢欠損、切断や先天性の欠損など
  4. Leg length difference:脚長差、外傷や先天性によるもの
  5. Short Stature:低身長、小人症など
  6. Hypertonia:過緊張、脳性麻痺や脳外傷など
  7. Ataxia:運動失調、脳性麻痺など
  8. Athetosis:アテトーゼ(不随意運動)脳性麻痺など
  9. VIsual Impairment:視覚障がい
  10. Intellectual Impairment:知的障がい

この中でウィルチェアーラグビーを通して関わることの多い疾患は

1.筋力低下(脊髄損傷、神経筋疾患)と3.四肢欠損です。そして、最近、世界的に増えているのは7.運動失調です。

普段の臨床現場で出会うことがそんなに多くない疾患が多いのでまだまだ分からない事ばかりです。

特に先天性の四肢欠損に関しては、小児リハに関わることがない限り、あまり触れることのない疾患ではないでしょうか?

・指が2本しかないけど、この指は親指なのか?人差し指なのか?

・四肢の形成不全がある場合、座高(脊椎)の形成は正常なのか?

などなど疑問がたくさんありますし、クラス分けを行う上でその判断が鍵となることもあります。

というわけで、最近読んだオススメの1冊はこれ!

人体はこうしてつくられる――ひとつの細胞から始まったわたしたち

人体はこうしてつくられる――ひとつの細胞から始まったわたしたち

 

国家試験というより、大学入試の時に勉強した記憶がある「発生学」

細胞分裂やら外胚葉やらが出てくるやつです。

その辺りから、手足の形成や発達について学び直そうと思い、読んでみました。

(ラングマンの人体発生学は高額なので、ハードルが高い)

 

1つの細胞が分裂する時に、どうやって真ん中を決めているか?

神経や血管、手足がどのように発生するか?

とても丁寧に分かりやすく説明されています。

 

一般的には

「DNAの中の設計図に従って身体って作られるんでしょ?」

という印象があるかもしれませんが(僕はそう思っていました)

人体の発生は、ほぼ全てに置いて細胞同士のコミュニケーションで成り立っています。

物理的なシグナル(お互いを引っ張る力や隣に何があるか、何もないか)や生化学的なシグナル(他の組織から来る分子)を受け取って、自分が次に何に分化すればいいか判断しています。

それだけで(と言ったらなんですが)、1つの同じ細胞から、身体中の多様な細胞に分かれていろんな機能を果たします。設計図もないのに、右腕と左腕はだいたい同じ長さになるし、極端に頭が大きくなったりしない。凄いですよね。

読めば読むほど、人体の発生は極めて巧妙で神秘的な仕組みによって成り立つことが分かります。DNAに「あなたは外胚葉だから神経になりなさい」「君は内胚葉だからこっちへ行きなさい」って指示されているわけではないのです。

 

僕は先天性四肢欠損について知りたくて読み始めましたが、再生医療に興味がある方も、発生学を学びなおすにはとても良い本だと思います。

かなり丁寧に作者さんは説明してくれて、「一般の方へ発生学を分かりやすく」というテーマの本かと思いますが、正直そんなに簡単ではありませんでした!笑

 

 

とても良い本でしたが、結局、先天性四肢欠損が起きる原因とか過程とかはよく分かりませんでしたので、次はラングマンの人体発生学へ進みます。

こういう学びが「科学的なクラス分け」に繋がると信じて!

海外Wi-Fiレンタル事情

9月に韓国(7年ぶり!?)へ行くことが(ほぼ)決まりました!

今年は

3月 オーストラリア

5月 香港

9月 韓国

と海外に行く機会が増えそうです。

と言うわけで気になるのがWi-Fiレンタル。

カナダではホテルのWi-Fiが使えず困ったので、次からは海外Wi-Fiのレンタルをしようと思います。

 

そこで、色々調べたところ、

価格.com経由が破格!

kakaku.com

 

オーストラリア5日間が

公式ページから予約すると、約8000円が…

価格 .com経由だと

なんと

約5000円!

4割も安い!

 

知らないと損です。

 

カナダではちょっと国際ローミングしただけで、かなりの金額を請求されました…

f:id:yukickoff:20190222231037p:plain

この子のせいで…

 

事前に価格.com経由で海外Wi-Fiをレンタルしておけば、お得だし、安心ですね!

やっぱりオーストラリアでガルーラ捕まえたい!

Establishing the reliability of a novel battery of range of motion tests to enable evidence-based classification in Para Swimming

[クラス分け論文③]

筋力テストの次は関節可動域テスト。ウィルチェアーラグビーではあまり関節可動域を測ることはありませんが(拘縮の有無を見るときくらい?)、他の競技のクラス分けマニュアルを読むと、関節可動域はしっかり確認しています。その関節可動域テストについて。

 

Establishing the reliability of a novel battery of range of motion tests to enable evidence-based classification in Para Swimming

パラ水泳における根拠に基づくクラス分けを可能にする関節可動域テストの新しい評価バッテリーの信頼性の構築

www.sciencedirect.com

 

目的 パラ水泳における根拠に基づいたクラス分けを可能にする為に作成された、水泳に特化した関節可動域テストの信頼性を評価すること

参加者 42名の健常者(平均年齢23.2歳)と24名のパラ水泳選手(平均年齢28.5歳)

主要評価項目 新しい自動関節可動域テストバッテリーの検者内および検者間信頼性

結果 健常被験者でのテストの大多数(32/34)では、良から優良の検者内信頼性が認められた。標準誤差は1.18°から6.11°の範囲であった。同様に、健常被験者での大多数(35/42)では、良から優良の検者間信頼性も認められた。標準誤差は0.73°から6.52°の範囲であった。パラ水泳選手では、健常者に比べて著明な関節可動域制限を示した。

結論 この新しい評価バッテリーに含まれる大多数の関節可動域テストは、健常者での検者内、検者間の両方で信頼性が認められた。このテストでは健常者と筋緊張亢進または筋力低下を有するパラ水泳選手の間では差が見られた。

 

(感想)

要約しか見れないので、結局分からない事ばかりですが、検者内信頼性(同じ人が何度も測っても同じ結果になるかどうか)、検者間信頼性(他の人が測っても同じ結果になるかどうか)共に高い結果でした。誤差が1〜6°前後って凄いです。

臨床現場では恐らく5〜10°単位でしか見れていないので、1°単位で測定できるようになる必要があるって事ですね。ちゃんと角度計使って測る習慣をつけよう。

Cluster analysis of novel isometric strength measures produces a valid and evidence-based classification structure for wheelchair track racing

[クラス分け論文シリーズ②]

前回から急に始まった論文紹介。科学的根拠に基づいたクラス分けが求められていますので、まずは先行研究を読むことから始め、いつかは自分自身も研究したいと思っています。

3月にオーストラリアを訪問し、国際パラリンピック委員会のリサーチセンター等を視察する予定ですので、とにかくそこの先生方が関わった論文を読んでいきたいと思います。前回は水泳についてでしたが、今回は陸上競技

Cluster analysis of novel isometric strength measures produces a valid and evidence-based classification structure for wheelchair track racing | British Journal of Sports Medicine

 

新しい等尺性筋力評価方法のクラスター分析は、車いすトラックレース競技における妥当で根拠に基づくクラス分け構成を生み出す

要約

背景 パラ陸上車いすレースのクラス分けでは、そのクラスが同程度の運動制限の障害を持つアスリートから構成されることを保証するために最善の方法が用いられている。しかし、意思決定の多くが主観的であり、この主観性を減らすために科学的な根拠が求められている。

目的 車いすレースのクラス分けにおいて、等尺性筋力評価が妥当なのかどうか、筋力評価方法のクラスター分析が妥当なクラス分け構成を生み出すかどうか、を評価することを目的とする。

方法 T51T54のクラスから32名の国際レベルの男性車いすレーサーを対象とし、肘伸展筋群、肩屈曲筋群、体幹屈曲筋群、前腕回内筋を評価する6つの等尺性筋力テストおよび2つの車いすパフォーマンステスト(015mおよび絶対値の最大速度)を測定した。車いすパフォーマンスと強い相関の見られた筋力測定方法はクラスター分析にて、結果の妥当性が分析された。

結果 6つ全ての筋力テストはパフォーマンスと相関があった。クラスター分析は合理的な全体構造や大きな筋群間で筋力の違いのある4つの群を生み出した。6名(19%)のアスリートは現在のクラスと一致しない群に割り当てられた。平均的なパフォーマンスにおいて、分析の結果として分けられた群は明らかに断層的なクラスとなった一方で、現在のクラスは断層的にならず、T53T54の間に差は見られなかった。

結論 等尺性筋力評価でのクラスター分析は、同程度の運動障害を持つアスリートから構成されるクラスを生み出した。 今回報告されている筋力テストは新しく、より透明性が高く、より主観性の低い、車いすレースのクラス分けシステムの基礎を提供することができると考えられ、より大規模なサンプルでの再現が待たれる。この論文は他のパラスポーツにおける根拠に基づくクラス分けシステムの構築に向けた一助ともなる。

 

[感想]

前回同様、筋力評価について。筋力評価そのものに関しては根拠もしっかりしていて間違いないと思いますが、現在のクラス分けシステムと合ってない場合もあるって話です。筋力だけでクラスを決めている訳ではありませんので、しょうがない気もしますが、より妥当性の高いクラス分けシステムが求められているってことですね。

少なくとも言えることは、「筋力評価はしっかりできるようにならないと!」ということ。MMTの本も原著第10版が出てるから買おうかな。

A battery of strength tests for evidence-based classification in Para swimming

パラ水泳での根拠に基づいたクラス分けのための筋力評価バッテリー

 

この研究では、パラ水泳における根拠に基づいたクラス分けのために等尺性筋力評価の妥当性を検証した。30名の健常者と42名の身体障害のあるパラ水泳選手が、自由形泳法での運動制限を説明するためにデザインされた等尺性筋力評価バッテリーを実施した。
利き肢、非利き肢の筋力や対称性に関わる測定方法は、健常者群で信頼性のあるとされた4つの筋力評価を参考にした。
パラ水泳選手は健常者に比べ、筋力評価で低い値を示し、筋力評価バッテリーはランダムフォレスト演算法(機械学習)を用いて、95%のパラ水泳選手をクラス分けすることができた。ほとんどの筋力測定法でパラ水泳選手の自由形での最大水泳速度との間で軽度から中等度の相関が見られた。
しかし、筋緊張亢進や筋力低下を伴うパラ水泳選手を単独で分析したところ、相関はほとんど見られず、パラ水泳における障がい特有の運動制限を強調する結果となった。まとめると、筋力評価バッテリーはパラ水泳クラス分けにおいて選手の筋力低下を推測し、最低出場要件基準を先導し、そして、パラ水泳パフォーマンスにおける筋力障害の影響を明確にするためには有効である。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02640414.2018.1504606

 

【感想】

結局、本文が読めないとどんな筋力評価を行なったか分からない!

全豪オープン車いすテニス

先日まで行われていた全豪オープン・テニス、車いすの部は

男子:グスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)

女子:ディーデ・デフロート(オランダ)

クァード:ディラン・アルコット(オーストラリア)

がそれぞれ優勝しました!

 

ハイライトはここで観れます。

ausopen.com

IPCのウェブサイトより、アルコット選手のインタビューを抜粋。

https://www.paralympic.org/news/dylan-alcott-aces-australia-day

 

“Today was a really special day, When I was 14 years old, I was lying in bed, and all I wanted to do was make it in the mainstream in some way." 

今日は本当に特別な日になりました。14歳の頃、僕はベッドの上に寝ていて、何か主流なもので成功したいと望んでいました

 

“I wanted to show that people with disability can be elite at what they do. I wanted to show them that they can be normal people – get a job, have fun, have a partner, do all the things everyone else takes for granted. I just wanted to see people with disability succeeding in the mainstream, in the media. And today, this match was broadcast on every single TV in Australia.”

僕は障がい者でも、その道のエリートになれる、ということを示したかったんです。障がい者でも普通の人になれる、つまり、仕事を得たり、楽しみを持ったり、パートナーを得たり、他のみんなが当たり前と思っている全てのことができる、と示したかったんです。僕はメディアで障がい者が主流なもので成功する姿が見たい。そして今日、その試合はオーストラリア中の全てのテレビで放送されたんです。

アルコット選手は生後3ヶ月で脊髄腫瘍の為、対麻痺となり、その後、18歳でオーストラリアの車いすバスケの選手として北京パラリンピックで金メダルを獲得、2012年にバスケ選手として引退し、テニス選手として戻ってきた経歴の持ち主です。

全豪オープンの優勝は5年連続だそうです。

 

さて、その車いすテニスですが、出場資格条件は、

「走る動作を実行するのに生体力学的な永続的な障がいがあること」

で、以下の障がいが当てはまります。

・筋緊張亢進

・失調

・アテトーゼ

・四肢欠損

・関節可動域制限

・筋力低下

・脚長差

そのうち

1.オーバーヘッドサーブに制限がある

2.スムーズで連続的なフォアハンドとバックハンドに制限がある

3.車いす駆動に制限がある

4.ラケットを握るのにテーピングなどの補助が必要

5.体幹機能に制限がある

のいずれかを満たす場合には

「クァードクラス」 

に参加できるようです(2017 ITF Wheelchair Tennis Classification Manualより)

 

クァードクラスはウィルチェアーラグビーと似たような障がいをもつ選手が多そうな印象ですね。アルコット選手の場合は体幹制限が強そうなので、両上肢に障がいが無ければ、ウィルチェアーラグビーには出られないことになりますが。

ちなみに男子の部優勝のグスタボ・フェルナンデス選手は1歳半の時の脊髄梗塞の影響で左下肢麻痺があるようです。(なので上肢機能は正常)

 

今回はハイライトしか見れなかったので残念。

一度でいいから、4大大会のどこかで車いすテニス(特にクァード!)を見に行ってみたい!