理学療法士のパラスポブログ

障がい者スポーツを通してより良い社会の実現を!理学療法士に何ができるか考えます。理学療法士/中級障がい者スポーツ指導員/クラシファイヤー

テーピング@リオ・オリンピック

連日オリンピックでの熱戦が繰り広げられています。

お盆のお休み中は、朝起きたら中継を見て、朝のニュースの中でハイライトを見て、ニュースの後のハイライト番組で見て、お昼のニュースでまた見て、夕方のニュースでまたまた見て、夜のハイライト番組で締める、といった感じで、1日のうち何度も同じ試合を観ました。

今日から仕事が始まり、さすがに朝と夜の2回くらいになりましたが、今回のオリンピックほど熱中しているオリンピックはありません。パラリンピックが本番なのに。。

 

卓球の福原愛ちゃん、石川ちゃんの涙で連日もらい泣きしていますが、気になるのは福原愛選手の脚に巻いてあるテーピング。

監督曰く、

「あくまで予防のためです」

とのことですが

rio.headlines.yahoo.co.jp

派手すぎて気になりすぎます。

 

オシャレとしての「ピンク」。

まぁ、それは良いとして、それよりもテープの大きさが気になります。

おそらくキネシオテープを使っていらっしゃると思いますが、キネシオテーピング協会で教わる貼り方では、筋肉を包むように最低限のテープの幅で貼ります。

 

テープの幅が広くなると、その分皮膚の上に貼る面積も増えます。

皮膚の下にある筋肉によって、皮膚の動きは変わりますが、大きいテープを貼ると様々な動きをする皮膚の上に貼ることになってしまいます。

テープと皮膚の方向が合っている部分は良いんでしょうが、方向がズレている部分は皮膚や筋肉の働きを阻害することになります。

小さいテープを貼ろうとすると今度は、皮膚の流れに合わせるのが難しくなり高度な技術が必要とされます。

私個人としては、できれば小さいテープを使って、身体の動きを邪魔しないようにしたい。講習会で教えていただいた先生は

「なるべく小さいテープで勝負したい、テープの節約にもなるし。」

とおっしゃっていました。

 

今回の大きく派手なテーピング。

貼ったトレーナーさんの意図が知りたい。

でも、あんまり派手だとユニフォームの色との兼ね合いが問題になりそうです。

サッカーでは靴下の上からテーピングをする選手が増えた結果、靴下と同色のテープしか使用できなくなりました。

キネシオテーピングは私が知ってる限りでは赤・青・黒・ベージュ・オレンジ・黄色・緑・紫の8種類あるはず。でも、オレンジとかは店頭には売ってない(はず)ですし、ユニフォームと同色を、ってことになると後々めんどう・・・

 

 

というわけで、明日は第2回テーピング勉強会が開催されます。

オリンピック帯同のトレーナーさんがどのようなお考えか分かりませんが、とりあえず、あまり太くないテープを最小限使って貼る方法を練習します。オリンピックと違ってほとんどのトレーナーさんは持ち出しでやってますしね。

ブラインドサッカー日本代表合宿

お盆休みをいただいて、千葉に来ています。

たまたま妻の実家の近くでブラインドサッカー日本代表の合宿が行われるということで、ボランティアに参加させていただきました。

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会場はこちら。

自転車で15分の距離、便利です。

 

ボランティア内容としては、主にフェンスの設置・片付けとボール拾い。

フェンスが予想以上に重く、既に前腕を中心に筋肉痛…

スタッフ・ボランティア総出で準備します。

 

その傍らで練習風景を見ることができます。

ブラインドサッカーを観るのは2回目ですが、間近で日本代表選手たちのプレーを見れるなんて、貴重な体験です。

国内大会を見た時と比べ、さすが日本代表、身体のぶつかり合いも激しく、プレーの質の高さも段違いです。

 

病院時代にお世話になった先輩が活動されている、JARTAの中野代表のトレーニングも見学することができました。具体的に何の目的でトレーニングしているかは分かりませんでしたが、きっとブラインドサッカーの動きから考えてトレーニングされてるんだと思います。

そして、中野さんのハムストリングスはやっぱり柔らかそうでした。

 

14:30-19:00までの長丁場でしたが、日本ブラインドサッカー協会の方や先輩ボランティアの方々のおかげで何とかボランティアを終えることができました。

選手へのサポートの仕方や練習場のセッティングなど勉強になり、今後の活動に活かすことができそうです。岩手や次の移住先ではぜひブラインドサッカーに関わりたいですね。

 

ありがとうございました!

 

 

 

足が攣る Exercise-Associated Muscle Cramps

暑いですね。

宮古市も暑い。冬は寒くて夏も暑いって何か損した気分です。

夏も涼しければ良いのに。

 

さて、こんなに暑い時にスポーツ現場で心配なのは、熱中症と足の痙攣です。

この間の大会への帯同時に気になったので、いくつか論文を探してみました。その中から一つをご紹介。

Influence of Hydration and Electrolyte Supplementation on Incidence and Time to Onset of Exercise-Associated Muscle Cramps

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1150229/

 

水分補給と電解質補給が運動に伴う足の痙攣にどう関連するか調べた論文です。

「足が攣る」っていうのは"Exercise-Associated Muscle Cramps"みたいです。

 

P:足が攣ったことのある成人男性13名に、

E:かなり暑い環境(気温37度、湿度60%)でふくらはぎが攣るまで運動させ、

C:ポカリスエットみたいなものを飲ませるパターンと何も飲ませないパターンを比べると、

O:どっちのパターンでも7名が足を攣ったが、ポカリパターンでは攣るまでの時間が2倍だった(36.8±17.3分vs14.6±5.0分)

 

とざっくりPECOの形でまとめてみましたが、結論として、何を飲もうが飲むまいが足を攣ることは攣る。予防は難しい。でも、遅らせることはできるみたいです。

それにしても、想像しただけでも過酷な研究です。多くの犠牲のもとに現代の科学は成り立っているのですね。

 

 

足が攣る原因としては、

・脱水理論

電解質(ミネラル)理論

・環境理論(暑いと攣りやすい、みたいな)

があるみたいで、いろんなホームページでは「こまめに水分補給をしましょう」や「ミネラルを補給しましょう」なんて書いてありますが、それで本当に予防できるのか、まだ本当のところは分かっていないようです。

今までは「試合前にバナナを食べると良いらしいよ」って適当に言ってましたが(すみません)、本当に適当なことだったわけです。

 

ただし、この論文の中でも

「メカニズムは分からないが、確かに足の痙攣を遅らせた」

と断言していますし、ある程度の効果は期待できそうです。

 

上記の理論以外に、最近では(と言っても1997年の論文だけど)、「筋疲労理論」というのもあるらしく、

Aetiology of skeletal muscle 'cramps' during exercise: a novel hypothesis. - PubMed - NCBI

「筋疲労に続く持続した異常な脊髄反射によって引き起こされるという仮説を立てた」と要約には書いてあります。

それでも仮説かよ!って感じですが、では何故攣りやすいハムストリングス腓腹筋が疲労しやすいのか、攣りやすい選手もいればそうでもない選手がいるのか、という疑問にぶつかります。 

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

 

 という本も買ったばかりですし、脳との関連も考えなければなりません。

 

まとめ。

足が攣るということをもっと勉強したくなった時は”Exercise-Associated Muscle Cramps”で検索すれば良い。

足が攣らないために、ポカリスエットアクエリアスを飲んで、バナナを食べても、攣る時は攣る。

でも、もしかしたら攣らないかもしれないので、水やお茶よりはポカリスエットアクエリアス)の方が良い。

宮古運動連鎖勉強会

7月30日に宮古市で「宮古運動連鎖勉強会」を開催しました!

一般社団法人フィジオ運動連鎖アプローチ協会の山本尚司先生に遠路はるばるお越しいただき、県内外から11名のPT・OTさんにも集まっていただきました。

 

宮古へ来て思うことは、「勉強する機会がないこと」です。

有名な研修会はだいたい仙台開催で、車で4時間かかります。盛岡で行われるとしても、2時間。かなりのエネルギーを使わないと勉強する機会が限られます。

 

そんな中、運動連鎖道場で有名な山本先生が宮古で勉強会を開いてくださるというのは本当に有難いことですし、光栄なことです。

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人間の身体とはどういう風にできているのか、どう観察するのか、そして、見て・感じたことをどう言語化するか。一つひとつ、丁寧にご指導いただきました。

 

単なる身体論としての運動連鎖ではなく、

理学療法士の専門性はなにか。

活動と参加のために何を考えなければならないのか。

深く考えさせてもらえる講義内容でした。

 

前述の通り、宮古では勉強する機会が限られます。

理学療法士作業療法士の数も少ないですし、必然と入ってくる情報量も少ない。

他の事業所との競争もほとんどありませんし、利用者・患者からの要求水準も高くない。

だからといって、勉強しなくていい、っていうわけではないはず。

どこのどんな利用者さんも、同じ人間ですし、それぞれの人生がある。

 

そんなことを改めて感じた勉強会でした。

 

私個人としては、勉強会を主催するのは初めてでした。

院内勉強会をやったり、講師やったり、お手伝いは経験がありましたが、実際に勉強会を主催するというのは大変ですね。

勉強になりました。広報のこと、税金のこと等々。

 

大変でしたが、こういう機会を設けて、少しでも宮古市リハビリテーションの質の向上が図れるとしたら、それは復興支援になるはず。

というわけで、これを読んでくださっている方々、宮古でお待ちしています!笑

 

 

山本先生、参加してくださった先生方、本当にありがとうございました。

ジャパンパラ ゴールボール競技大会

7月23日に足立区総合スポーツセンターで開催されたジャパンパラのゴールボール競技大会にボランティアとして参加させていただきました!

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ゴールボールパラリンピックの正式種目であり、女子代表は世界ランク4位、ロンドンパラリンピックの金メダル!!!

リオパラリンピックでもメダルが期待される競技の一つです。

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ゴーグルを付けた3人の選手がバスケットボールとほぼ同じ大きさのボールを相手と投げ合います。

ゴールの幅は9m、目が見えない状態で1人あたり3mの幅を守らなければなりません。

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ボランティアの合間に体験会にも参加させてもらいましたが、ボールが結構重い。

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手や足、身体でボールを止めるのですが、当たると痛いし、どこから来るのか分からない恐怖感もありました。

ラインにはタコ紐が通してあり、それでポジションを確認するのですが、触っていても自分がどっちを向いてるのか把握するのも難しかったです。

 

そんな中、日本代表の選手たちは、味方にぶつかることもなく、まるで見えているかのようにボールをしっかり捉えていました。

日本A、日本B、韓国、イスラエルが参加しましたが、日本Aの安定感はズバ抜けていましたね。

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リオパラリンピックが楽しみです!(テレビ放送あるのかな?)

 

初めてジャパンパラのボランティアに参加させていただき、いろんな方とお会いできましたし、大会運営やパラスポーツの魅力も肌で感じることができました。

「わざわざ岩手から!」と皆さんに言っていただきましたが、わざわざ来た甲斐がありました(笑)

 

障がい者スポーツ指導員を取ると、こんな機会を得ることができますよ。

大会には理学療法学科の学生さんたちも来ていましたが、ぜひ指導員も取って欲しいところです。

 

ちなみにボランティアの内容は、会場受付や案内係でした。

そのうち理学療法士や英語を活かしたボランティアができるよう、ちゃんと勉強しようと思いました。

 

 

 

 

第2回盛岡南球技場障がい者サッカー交流大会

7月18日(月・祝)、盛岡市にあるいわぎんスタジアム(盛岡南公園球技場)で行われた障がい者サッカー交流大会に帯同させていただきました。

 

梅雨の晴れ間に恵まれ、グルージャ盛岡のホームスタジアムという、最高の環境で試合をさせてもらいました。

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第1試合は仙台に3-1

第2試合は秋田に1-0

と、今まで差があると感じていたチームに勝利することができました!

 先月の宮城、福島に続き4連勝!!!!

 

プレー内容で言うと、以前に比べて、しつこく守備ができるようになり、ボール際も激しく行けるようになりました。

ウォーミングアップをしていても、ステップが早くなった選手が増えました。

試合の時に厳しく行けるようになったことで、これからも改善が期待できます。

 

コアトレーニングの本が本屋に並んでいますが、やっぱり1番大切なのはトレーニングや試合の時に厳しく行けること。グラウンドの端やジムでやるコアトレーニングはおまけみたいなもんです。

身体を安定させるために働くコアと呼ばれる筋肉たちは、我々が考えるよりも早く働き始めます。いくら意識して鍛えたところで、無意識下で働いてくれる保証はどこにもありません。

ならば、最初から無意識下で鍛えた方が効率的です。

練習や試合の中で、相手とぶつかって、ボールを競る中で最も効果的で効率的なコアが出来上がるはず。

健常者、障がい者を問わず、練習から厳しくやれないのが日本サッカーの課題でしょうけど。

 

珍しく足が攣る選手が少なかった大会でもありました。

先月の大会からそんなに条件は変わらないはず。むしろ、今回の方が相手も強く、身体的・精神的に受けるストレスは大きいはずです。

「足が攣る」ということについて、もう少し深く考える必要がありそうですね。

脱水なのか、電解質の問題なのか、フィットネスの不足か。

 

 

交流大会の最後には、エキシビションマッチとして、東北知的障がい者サッカー連盟創立後、初めて選ばれた東北トレセングルージャ盛岡のスタッフの方々との試合も行われました。

改めて感じましたが、アカデミーのスタッフさんってサッカー上手いんですね。

障がい者同士では誤魔化せた部分が見事に誤魔化せず、東北トレセンは何もできませんでした。

 

その分、改善の余地がある、ということで、これからも岩手県チームや東北トレセンには大注目です!

 

 

義足ランナー

読書日記④

障がい者スポーツ、特に義足を使ったスポーツに欠かせないのが義肢装具士

義肢装具士養成学校が近くにあれば、義肢装具士になりたい今日この頃。

 

日本で1番有名であろう、義肢装具士さんについて書かれた本が「義足ランナー」

 

義足ランナー: 義肢装具士の奇跡の挑戦

義足ランナー: 義肢装具士の奇跡の挑戦

 

 義足スポーツのパイオニアである臼井二美男さんは何故義足スポーツを始めたのか。

臼井ニ美男がこの活動を始めたのは、

「走れるわけがない」

「走る必要なんかない」

とする常識に疑問を抱いたからだった。

少しでも走れるようになれば、それが義足を使っている人々の人生そのものに必ずプラスとなるだろうと思ったのである。

 

その想いに導かれて、走ることを始めたアスリート達のストーリーが描かれています。

全ての障がい者スポーツにつながる話だと思います。

 

なぜ障がい者がスポーツをするのか。

 

改めて障がい者スポーツに関わることの意義を感じさせられます。

やっぱこの世界に入って良かったなって。

 

障がい者陸上に興味のある方はこちらもオススメ。

 

オスカー・ピストリウス自伝: 義足こそが僕の足

オスカー・ピストリウス自伝: 義足こそが僕の足

 

 

義足の方を担当した経験は数例しかないですし、義足の方が走ってるのも見たことないですけどね。

義肢装具士っていう仕事は、理学療法士の良いところと、日本人としての「ものづくり」の心が融合した感じで、やっぱり惹かれます。

最近は義肢装具士の方も職場に来てくださるようになったし、ちゃんとディスカッションしながら装具作りができるよう、勉強します!