理学療法士のパラスポブログ

障がい者スポーツを通してより良い社会の実現を!理学療法士に何ができるか考えます。理学療法士/中級障がい者スポーツ指導員/クラシファイヤー

臨床スポーツ医学会 チームドクター&トレーナーミーティング

明日から2日間、幕張メッセで第27回日本臨床スポーツ医学会学術集会が開催されます。

プログラム|第27回日本臨床スポーツ医学会学術集会|Rio to Tokyo

新しい知見や幅広い知識を得るには、学会に参加するのが一番です。

 

とか言いつつ、土日は参加できないので、本日開催されたチームドクター&トレーナーミーティングに参加させていただきました。

テーマは「冬季スポーツ」と「前十字靭帯損傷予防」について。

 

人生でスキーは一度しかやったことないし、スキー板の長さがどうだこうだ、Rが30だか35だか言われても全く何を言ってるのか分かりませんでしたが、ACL損傷を予防するために、いろいろな競技でどのような取り組みがされているのか知ることができましたし、その効果と限界を理解することはできました。

スキー🎿では用具の影響が大きい、ということでしたが、ルール変更による明確な傷害予防効果は得られず、ここ10年間でACL損傷を減らすことができていない、むしろ、ちょっと増えてるような状況のようです。

FIFAが作成した『11+』というプログラムを様々な年代、性別で実践したサッカーでの報告でも効果はまちまち。

理学療法士が複数名で丁寧に介入したバスケットボールでの取り組みと、ストレングストレーニングをしっかりと取り入れたハンドボールチームでは一次予防、再発予防ともに成果が上がっているみたいでした。ただ、理学療法士が複数名でチームに関わるっていうのは費用や人員の問題で、現実的に実行するのは難しいそうですし、チーム全員でストレングストレーニングを行うっていうのもプロチームか大学でしか厳しそうな印象です。

 

どこでも実践できる『11+』は素晴らしいですが、自重だけで行うっていうのは負荷が軽すぎるのかな。

 

正直な感想としては、学生の頃に学んだことに比べると、ACLの損傷機転やリハビリテーションの内容、再発予防に向けた取り組みなどはそんな劇的に変わっている印象はありませんでした。発展途上国や東北被災地で過ごした数年間は、浦島太郎になった気分でしたが、とんでもなく置いてけぼりにされたわけじゃなさそうで、ちょっと安心しました。(実践経験は全然足りないですけど)

 

それだけACL損傷っていうのは厄介で、いかに予防するのが大変かってことです。

ふと、万が一、岩手県知的障がい者サッカーチームの選手がACLを切ったら、って考えましたが、きっとACL再建術を行なって1年かけて競技復帰を目指すっていう選手はいないだろうなぁ、と思いました。再損傷のリスクもありますし、そこまでリハビリテーションを続ける時間的・経済的余裕のある選手はどれだけいるでしょうか。

ACL再建術を行なったプロサッカー選手の半数以上が5年後にはいなくなっているというデータがありましたが、多くの障がい者スポーツ選手にとって、それ以上に長期離脱を伴う怪我は致命的です。

 

練習量や負荷を考えると、今関わっているチームでのACL損傷発生リスクはそれほど高くはないと思いますが、トレーナーとして関わる中での傷害予防の重要さを改めて感じたチームドクター&トレーナーミーティングでした。

 

たまには都会で情報収集するのは大事ですね(笑)

 

 

希望郷いわて大会

10月21〜24日に希望郷いわて大会(第16回全国障がい者スポーツ大会)が開催されました!

ありがたいことに、知的障がい者サッカーチームのトレーナー(メディカルスタッフ)として帯同させていただきました。

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 会場はいつもの、いわぎんスタジアム

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初戦は大阪府と戦い、0-7。

翌日の静岡県との交流戦は、0-6。

試合前のウォーミングアップや試合中、前後の怪我の対応を担当し、初戦で骨折してしまう選手もいて、慌ただしい日もありました。

結果は残念でしたが、1年前から比べると選手の成長は本当に目覚しいものがありました。

 

特に交流戦の静岡県戦の前半は、ミスから失点したものの、0-1とよく戦っていました。各地域の予選を突破してきたチームを相手に、素晴らしい試合を見せてくれました。

 

 

2013-14年に青年海外協力隊として活動する中で障がい者スポーツの必要性を感じました。

帰国後に参加したいわてリハビリテーションフォーラムで岩手県知的障がい者サッカーチームの存在を知り、翌2015年8月に秋田県で初級障がい者スポーツ指導員の講習会を受講しました。その際に、秋田県出身の知的障がい者サッカー日本代表選手についての話を聞き、その直後にチームの合宿に参加させていただいたのが始まりでした。

チームに関わって、まだ1年くらいですが、本当にあっという間でした。

 

全国障がい者スポーツ大会という大きな舞台を経験させていただき、トレーナーとして多くを学ぶことができました。どこからともなく現れた自分を受け入れてくれたチームのスタッフや選手に感謝の気持ちでいっぱいです。

試合の時には大勢の方に見にきていただき、それを見たときは泣きそうになりました。

心配してたアイシング用の氷はホテルの方が大量に用意してくれました。

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緊急時には救護班、病院の方々、岩手県選手団の役員のおかげでスムーズに病院受診につなげられ、選手も安心できたと思います。

大会期間中はボランティアさんが3名ついていただき、多岐にわたり協力してもらいました。

 

本当に多くの方の支えがあって、希望郷いわて大会を終えることができました。

ありがとうございました!

青年海外協力隊短期ボランティア

本日より、青年海外協力隊の短期ボランティアの募集が始まりました!

応募期間は10月11日〜11月24日です。

 

その中で障がい者スポーツ関連がありましたのでご紹介します。

募集ボランティア要望調査票|短期ボランティア 青年海外協力隊Aタイプ(SJVA)|JICA-ボランティア

任国は、タイ王国🇹🇭

期間は来年3月末から7ヶ月間です。

 

来年10月に開催予定の自閉症精神障害者を対象にしたスポーツ大会(運動会)の企画・運営を長期ボランティアの方と行うようです。

求められる語学能力は英語Bということでちょっと高めかもしれませんが、TOEIC640-730くらい、英検準1級未満2級以上ってとこです。

英語力と福祉関係の経歴があればきっと大丈夫!

 

タイ王国障がい者スポーツ事情を知れると思いますし、日本から近くて日本人もいっぱいいるタイなら海外に行ったことない人でも、そんなにハードルは高くない(はず)です。

 

ちなみに、今回は募集はありませんが、ペルーでも障がい者スポーツ大会のボランティア募集があります。その様子はこちらから。

ペルーで作業療法士として関わる障害者スポーツ! | 開発途上国リハビリレポーター

 

海外へ行くことのメリットを語り始めると長くなるので辞めますが、今までイングランド🇬🇧やセントルシア🇱🇨で生活した経験はとても大切な思い出です。

きっとタイでの経験は人生を豊かなものにしてくれると思います!ましてや障がい者スポーツを通して海外へ行ったり国際協力ができるって言うのは本当に素敵なことです!

盛岡市社会人サッカーリーグ@県営運動公園

今日は、盛岡市にある県営運動公園で社会人リーグの試合でした。

県営運動公園は山岳(?)の会場となっており、駐車場もいっぱい。賑やかな雰囲気をよそ目にリーグ戦が行われました。

我々の試合前には、FCガンジュ岩手vsコバルトーレ女川の試合が行われていたみたいで、早めに来て観戦すれば良かった、とちょっと後悔。

 

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試合前のウォーミングアップに集中して取り組める選手も増え、合宿の成果が垣間見えました。

だいたいいつも通りやって、約20分間。大会期間中のスケジュールに合わせてのウォーミングアップでしたが、その後のボールを使った練習へのつなぎ方や内容はコーチともうちょっと詰めないといけないですね。

 

試合は0-11で敗戦。でも、以前の試合と比べると、選手の成長ぶりは歴然としてました。ボールへの寄せ方、浮き玉の処理…などなど普通に上手い社会人を相手にできることが増えているように感じました。

あとは怪我や病気なく大会を迎えてくれることを願うばかりです。

 

それにしても、盛岡は寒かった…もう冬だ…

希望郷いわて国体@宮古

今月からついに希望郷いわて国体が始まりました。

宮古市ではセーリングレスリングが正式種目として開催されます。

セーリングは平日開催だったため、全く見れずに終わってしまいました。

レスリングは金曜日から始まり、今日はせっかくの土曜日なので行ってみました。

 

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レスリングってオリンピックでは観たことがありましたが、生で観るのは初めて。

というか、国体でもない限り、あまり目にする機会のないスポーツの一つなのではないでしょうか。

 

ルールはほとんど分かりませんでしたが笑、観客やコーチから熱い応援や指示が飛び交い、緊張感の漂う試合が続いてました。

 

国体会場の雰囲気も分かったところで、いよいよ次は希望郷いわて大会(全国障がい者スポーツ大会)!あと2週間後には試合が始まります。

岩手県の初戦の相手は大阪府。13:00から盛岡南球技場でキックオフです!

中級障がい者スポーツ指導員養成講習会

おはようございます。

宮古の朝は冷え込むようになり、いよいよ冬が訪れようとしています。

さて、そんな中、中級障がい者スポーツ指導員の養成講習会の追加募集の案内が出ていました。

 

www.jsad.or.jp

 

日程:【前期】平成28年 11月16日(水)~20日(日)

   【後期】平成29年 2月15日(水)~19日(日)

会場:北海道青少年会館コンパス  (北海道札幌市南区
   札幌市身体障害者福祉センター(北海道札幌市西区

 

だそうです。

中級指導員の受講資格は、

・初級障がい者スポーツ指導員取得後2年が経過し、かつ、80時間以上の指導経験があるもの

とされています。

初級指導員を持った人しか受講できませんが、ご都合がよろしい方はぜひ。

中級持ってますが、北海道行きたかった・・・

 

ちなみに、理学療法士は中級を受けるに際して、初級の受講は免除されています。

ですが、初級向けのこの研修会には参加できません。

理学療法士向けの中級障がい者スポーツ指導員養成講習会が別に開催されますので、理学療法士で中級取得を目指される方はご注意ください。

 

このブログは「中級障がい者スポーツ指導員 理学療法士」で検索してたどり着かれる方が多いですが、

①初級指導員を取って、2年経過後、中級を取る

理学療法士の資格を活かして、初級を飛ばして中級を取る

この2パターンで理学療法士は中級障がい者スポーツ指導員を取得することができます。

①のメリットは、学校の先生を初め、理学療法士以外の障がい者スポーツに携わる方との出会いが増えます。どうしても狭い世界に住みがちな理学療法士にとっては、視野を広げる良い機会です。

①のデメリットは、8~10日間の休みを取らなければならないこと、障がいの理解など十分理解している内容を聞かなきゃいけないこと。

 

それに対し、

②のメリットは、通常なら8~10日かかる養成講習会が4日で済みます。同じ分野(障がい者スポーツ)に興味のある理学療法士の仲間に出会えます。

②のデメリットは、やっぱり理学療法士以外の人と出会う機会がありません。4日間で取得できますが、その分学ぶ量が少なくなってしまいます。

 

というわけで、それぞれのメリット、デメリットを理解して取得を目指された方が良いでしょう。

ですが、結局、資格は資格。資格を取っても、その後何も活動しなければ意味がありません。実際に、中級を持っていても、普段は障がい者スポーツに関わっていない人は大勢いると思います。

私は、秋田県で初級を取った後、2年を経ずに、理学療法士向けの中級を取りました。中級講習会での同じ志を持った理学療法士と出会えたのは一生の宝物ですし、1年くらい経っても連絡を取っています。

8日間の講習を受けて、他の職種の方々と学びたかった気持ちもありますが、その後の研修会や日々のトレーナー活動の中でいろんな方に出会うので、それなりにネットワークは広がったと思っています。

 

どちらにしても、最近では障がい者スポーツに携わる理学療法士は減っていると聞いています。東京パラリンピックに向けて、興味を持つ人は増えると思いますが、何度も言うとおり、パラリンピックだけが障がい者スポーツじゃありません。

初級や中級をきっかけに、日ごろの障がい者スポーツの活動に関わる理学療法士が増えることを願っています!

東北ブロック障がい者スポーツ指導員講習会

気付けば前回の投稿から1ヶ月が経ってしまいました。。。

ただでさえ通常業務で忙しいのに、台風やら低気圧やらがやってきて大忙し。

 

さて、9月17,18日に青森県八戸市で開催されました、「東北ブロック障がい者スポーツ指導員講習会」に参加させていただきました。

人生初青森☆東北はあと山形のみ(行く用事できないかな…)

講習会の前に八食センター行ったり、

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蕪島行ったり(ウミネコ繁殖地だけど、全然ウミネコおらず)、八戸を満喫しました。

 

講習会のテーマは「ハンドサッカー」

ハンド?サッカー?サッカーでハンドしたらファールやろ…と思いますよね。

ハンドサッカーとは、東京都の肢体不自由特別支援学校を中心に30年くらい前から行われている競技です。

手が使える子は手で「ハンド」

足が使える子は足で「サッカー」

ということで、重度の障がいがあっても、誰もが参加できる競技として開発されました。

いつも卓球バレーを推していて、今回のパラリンピックではボッチャが銀メダルを獲りました。

でも、やっぱり本当に障がいが重い人は、結局一緒に卓球バレーやボッチャを楽しむことができません。

 

しかし!ハンドサッカーでは本当に誰でも参加できます!

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まず、コートはバスケットボールコートの一回り小さくしたもの。その両端にハンドボールゴールよりも一回り小さいゴールがあります。そのゴールの左横にサブゴールがあります。ボールはソフトバレーボール。

 

フィールドでは4名の選手が独歩であろうが、電動車いすであろうが、入り乱れてプレーします。

運動機能によって、ボールを持つことができる時間が決められています(5or10秒)。

その4名のフィールドプレイヤーとは別に、「スペシャルシューター」と呼ばれるポジションがあり、フィールドの端の方にいます。

スペシャルシューターがボールを持ち、角に設けられたSSエリアという場所に入ることができれば、サブゴールに2本シュートを打つことができます。

スペシャルシューターを担当するのは、フィールドプレイヤーより障がいが重い選手です。

 

更に!フィールドプレイヤー、スペシャルシューターとは別に、「ポイントゲッター」というポジションがあり、味方からのパスをポイントゲッターが受けると、メインゴールに1本シュートすることができます。ポイントゲッターはスペシャルシューターよりも更に障がいが重い選手が担当します。

 

スペシャルシューターやポイントゲッターは選手一人ひとりが考えたシュート課題を試みます。

例えば、ボッチャのようにボールを転がしてシュートしたり、電動車いすでボールを押してシュートしたり。

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 とまぁ、ここまで書いてみましたが、全然伝わる気がしない(笑)

自分自身も渡された資料やインターネットを見てもよく分かりませんでした。

半日プラス半日の講習会日程のほとんどを実技体験に費やしていただいたことで、ハンドサッカーの面白さや奥深さを知ることができました。

一言で言うと、ハンドボールのような車いすラグビーのようなボッチャのような競技でした。

競技、というよりも、レクリエーションや学校体育に近いイメージかもしれません。

 

純粋に勝ち負けを競う、というよりも、ハンドサッカーを通して、課題を見つけ、それを乗り越えていくことに意義があるようです。そういう意味でも教育的要素の強い障がい者スポーツだな、と感じました。

 

要は、卓球バレーでもボッチャでもハンドサッカーでも何でも良いんだと思います。ただ、障がいがあるから選べる競技が無かったり、選択肢が少なかったりすることが問題なわけです。

スポーツじゃなくてアートでもミュージックでも良いはずです、夢中になれるなら。

その選択肢をどれだけ与えられるかが、周りの大人や社会の課題です。

「あなたは卓球バレーできないから、横で見ていて」なのか、

「あなたは卓球バレーは難しいかもしれないけど、ハンドサッカーっていうのがあるけど、どう?」と言えるかどうかです。

 

最後に、もう一つ、ハンドサッカーの魅力を加えると、両親への生きがいの提供だと思います。

講習会の中で見せていただいた動画で目立ったのが、観客(たぶん親)の盛り上がりです。

子どもがスポーツクラブに入って、その応援が生きがいです、っていうお母さんやお父さんに結構出会います。自分も今から楽しみです。その喜びを、重度障がいのお子さんを持ったご両親も味わうことができるのがハンドサッカーです。協会の方も「うちの子には無理だと思ってました」とよく言われるそうです。

 

まだハンドサッカーは全国的には広まっていない状況です。

全国に広まれば、そんな思いができる人が増えます。地元福岡でも講習会を開催するかもしれない、ということなので、これからの発展がとても楽しみです^o^

もし、興味を持ってくだった方がいれば、ご一報ください。きっと協会の方は全国どこでも行ってくださると思います。海外進出も絶賛募集中です〜