理学療法士のパラスポブログ

障がい者スポーツを通してより良い社会の実現を!理学療法士に何ができるか考えます。理学療法士/中級障がい者スポーツ指導員/クラシファイヤー

足が攣る Exercise-Associated Muscle Cramps

暑いですね。

宮古市も暑い。冬は寒くて夏も暑いって何か損した気分です。

夏も涼しければ良いのに。

 

さて、こんなに暑い時にスポーツ現場で心配なのは、熱中症と足の痙攣です。

この間の大会への帯同時に気になったので、いくつか論文を探してみました。その中から一つをご紹介。

Influence of Hydration and Electrolyte Supplementation on Incidence and Time to Onset of Exercise-Associated Muscle Cramps

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1150229/

 

水分補給と電解質補給が運動に伴う足の痙攣にどう関連するか調べた論文です。

「足が攣る」っていうのは"Exercise-Associated Muscle Cramps"みたいです。

 

P:足が攣ったことのある成人男性13名に、

E:かなり暑い環境(気温37度、湿度60%)でふくらはぎが攣るまで運動させ、

C:ポカリスエットみたいなものを飲ませるパターンと何も飲ませないパターンを比べると、

O:どっちのパターンでも7名が足を攣ったが、ポカリパターンでは攣るまでの時間が2倍だった(36.8±17.3分vs14.6±5.0分)

 

とざっくりPECOの形でまとめてみましたが、結論として、何を飲もうが飲むまいが足を攣ることは攣る。予防は難しい。でも、遅らせることはできるみたいです。

それにしても、想像しただけでも過酷な研究です。多くの犠牲のもとに現代の科学は成り立っているのですね。

 

 

足が攣る原因としては、

・脱水理論

電解質(ミネラル)理論

・環境理論(暑いと攣りやすい、みたいな)

があるみたいで、いろんなホームページでは「こまめに水分補給をしましょう」や「ミネラルを補給しましょう」なんて書いてありますが、それで本当に予防できるのか、まだ本当のところは分かっていないようです。

今までは「試合前にバナナを食べると良いらしいよ」って適当に言ってましたが(すみません)、本当に適当なことだったわけです。

 

ただし、この論文の中でも

「メカニズムは分からないが、確かに足の痙攣を遅らせた」

と断言していますし、ある程度の効果は期待できそうです。

 

上記の理論以外に、最近では(と言っても1997年の論文だけど)、「筋疲労理論」というのもあるらしく、

Aetiology of skeletal muscle 'cramps' during exercise: a novel hypothesis. - PubMed - NCBI

「筋疲労に続く持続した異常な脊髄反射によって引き起こされるという仮説を立てた」と要約には書いてあります。

それでも仮説かよ!って感じですが、では何故攣りやすいハムストリングス腓腹筋が疲労しやすいのか、攣りやすい選手もいればそうでもない選手がいるのか、という疑問にぶつかります。 

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I)

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 という本も買ったばかりですし、脳との関連も考えなければなりません。

 

まとめ。

足が攣るということをもっと勉強したくなった時は”Exercise-Associated Muscle Cramps”で検索すれば良い。

足が攣らないために、ポカリスエットアクエリアスを飲んで、バナナを食べても、攣る時は攣る。

でも、もしかしたら攣らないかもしれないので、水やお茶よりはポカリスエットアクエリアス)の方が良い。