理学療法士のパラスポブログ

障がい者スポーツを通してより良い社会の実現を!理学療法士に何ができるか考えます。理学療法士/中級障がい者スポーツ指導員/クラシファイヤー

IPC Classification Code

前回、国際クラシファイヤーについて書きましたが、そもそもクラス分けってなに?っていう方もいると思いますので、改めてクラス分けについて書きます。

 

クラス分けに関しては、各競技団体が独自にルールを作って(持ち点制にしたり、カテゴリーを分けたり)それぞれが運営していますが、一応、国際パラリンピック委員会(International Paralympic Comittee:IPC)が示す方針に基づくことになっており、IPCと足並みを揃えることを各競技団体は求められます。

 

その指針を定めたのが

IPC Athlete Classification Code

です。なんかカッコいい名前です(IPCって付くだけでカッコよく感じる)

https://www.paralympic.org/sites/default/files/document/170704160235698_2015_12_17%2BClassification%2BCode_FINAL2_0.pdf

 

なぜそこまでしてIPCはクラス分けを行うのか?それは、

・誰がパラスポーツで競技することができるか

・各競技における障害による影響を最小限にすること

IPCの考えるパラスポーツとは、競技スポーツのことです。障害のある方が全員平等に参加できることは前提にしていません。

なぜならIPCの理念は

「パラアスリートが、スポーツにおける卓越した能力を発揮し、世界に刺激を与え興奮させることができるようにすること」

だからです。少なくとも刺激を与え興奮させることができるレベルの競技でないとなりません。

そして、その競技が、障がいの程度ではなく、個々人の能力によって競われることが重要なので、クラス分けが必要なんです。

障がいの軽い人だけが金メダルを取れるような仕組みはダメです。そりゃそうですよね、でも未だに競技によっては軽い障がいの人しか勝てない競技もあります…

クラス分けってIPCの理念を実現するためにもとっても重要な位置付けなんです。自分で書いといてなんですが…クラス分けって良い仕事だー。やりがいありますよー!

さて、じゃあ、どんな障がいならパラリンピックに出ることができるのか、実は決まっています。

  1. Impaired muscle power:筋力低下、脊髄損傷や二分脊椎、ポリオなど
  2. Impaired passive range of movement:他動的関節可動域制限、先天性関節拘縮症など、関節炎のような急性症状は含まれません
  3. Limb deficiency:四肢欠損、切断や先天性の欠損など
  4. Leg length difference:脚長差、外傷や先天性によるもの
  5. Short Stature:低身長、小人症など
  6. Hypertonia:過緊張、脳性麻痺や脳外傷など
  7. Ataxia:運動失調、脳性麻痺など
  8. Athetosis:アテトーゼ(不随意運動)脳性麻痺など
  9. VIsual Impairment:視覚障がい
  10. Intellectual Impairment:知的障がい

この10障がいだけです。精神障がいや聴覚障がいは含まれません。

聴覚障がいについては分かりやすい記事を見つけたのでご紹介します。

https://whitebox-inc.com/library/deaflympics/

(別に聴覚障がいや精神障がいを差別しているわけではありません。いろいろ歴史があるんです。少なくとも聴覚障がいは自らの意思でIPCから離れたみたいです)

 

10種類って以外ですよね。日本の身体障害者手帳では音声・言語・咀嚼の障害と内部障害も含まれます。

ちなみに、上記の10障がいのうち、Short Stature(低身長)については日本では障害に含まれません。(757年の養老律令には侏儒の記載があったようですが。)

手帳が発行されないため、「障がい者ではない」と思っている方もいると思いますが、陸上や水泳、バドミントンに参加できるチャンスがありますので、ぜひお近くに身体能力の高そうな方がいれば競技団体へ連絡を!

 

というわけで、クラス分けを知ればますますパラスポーツが楽しくなると思います!

IPCやClassification Codeについては引き続きお伝えしていきます。

ではまた。