理学療法士のパラスポブログ

障がい者スポーツを通してより良い社会の実現を!理学療法士に何ができるか考えます。理学療法士/中級障がい者スポーツ指導員/クラシファイヤー

第12回障がい者スポーツ指導者全国研修会

静岡県のグランシップで開催された障がい者スポーツ指導者全国研修会に参加してきました。

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静岡県に来るのは、たぶん10年ぶり。5年前には清水エスパルス鹿島アントラーズの試合を観に行こうと計画していましたが、直前に東日本大震災が起こり中止になりました。それから5年経ち、ようやく静岡に来れたってことは感慨深いものがあります。まぁ、別に上空は行ったり来たりしてるわけだからそんな大したことじゃないのかもしれませんが。

 

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シンポジウムでは、静岡県出身34歳というプロフィールが偶然にも一致しているパラリンピアンが登場。陸上日本代表の山本篤さん、柔道日本代表の米田真由美さん、ボッチャ日本代表の杉村英孝さんの3名です。

「選手に求められる指導者像とは」というテーマで語っていただいた内容では、

・選手とのコミュニケーションが取れること

・科学的根拠、国際的な視野でそのスポーツを深く研究していること

が3人から共通して出てきました。もはや聞き飽きた話のように聞こえますが、2017年を迎えようとしている現在でもこういう話が出てくるってことは、やっぱりコミュニケーションの難しさを感じざるを得ません。自分への反省を大きく踏まえても。

 

今年から全国研修会では、分科会を土曜日・日曜日と同じ内容で開催することで、2日間で興味のある2つのテーマについて学ぶことができるようになっていました。

医学系の学会でも同じ時間帯にどっちも聞きたいなーってことは結構あるので、便利な仕組みだと思いました。

 

初日は、脳血管障害後の生活期でのリハビリテーションとスポーツについて、2日目は、知的障がい・発達障がい者のスポーツ指導について学ばせていただきました。

特に2日目の講師である森山徹先生は、日本知的障がい者サッカー連盟の立ち上げなどにも関わられ、日常的に知的障がい者のサッカー指導に関わられている方でした。まさに自分が聞きたいことで、静岡県まで来て本当に良かった、と思える講義でした。

 

知的障がい者、発達障がい者の認知的・非認知的な特徴や、今話題の大人の発達障がいとの違いについて詳しく説明していただき、旧東ドイツで発展したコオーディネーション・トレーニングが運動発達に対して、いかに効果的なのか解説してもらいました。

 

サッカーのコーディネーショントレーニング

サッカーのコーディネーショントレーニング

 

 一度は読んだはずのこの本ですが今どこにあるか分かりませんので、休憩時間に注文したのは言うまでもありません。

希望郷いわて大会の後は、なかなか練習に行けていませんが、基礎的なウォーミングアップやストレッチ、ラダートレーニングは実施することができるようになりました。次はパフォーマンス向上のため、体幹トレーニングだ!筋力トレーニングだ!って思ってましたが、その前にやるべきことがありそうです。知的障がい者、発達障がい者は脳の器質的な障がいにより、運動や認知機能に影響が見られます。しかし、運動そのものが障がいされている、という他にも、過敏な前庭覚や触覚、周囲の環境、教育の影響で運動発達が阻害されている可能性もあります。

つまり、そういった特徴に配慮しながら上手いこと運動させることができれば、運動機能に関して改善の余地がまだまだあるわけです。

それに、時間的展望(時間のイメージを持って、自分は上手くなったという実感を得ること)の低さや内発的動機付け(上手くなってきたから、もっと頑張ろうというモチベーション)の弱さが学習を阻害しているかもしれません。その特徴に合わせたコミュニケーション、コーチングも必要です。

 

コーディネーショントレーニングについて学び直すとともに、もう一度発達障がい、正常発達についても勉強しなければなりませんね。

 

 

今回の全国研修会では、昨年のクラス分け講習会やジャパンパラ大会でお世話になった方々、中級障がい者スポーツ指導員の同期と再会し、いろいろな話を聞くことができました。

"障がい者スポーツの導入のためには理学療法士の役割が大切"

とよく言われますが、回復期病院では入院日数が制限され、日常生活に帰すのもやっと、という日々の中、どこまで理学療法士障がい者スポーツの導入に関われるのか疑問です。脊髄損傷や切断後のリハビリテーションがどういう仕組みの中で、どういう場所で行われるのかよく分かってないのもありますが。

その後の生活期、といっても高齢者が主な対象者になるわけですし、レクリエーションを超えるスポーツ活動には繋げにくいのも現実です。

結局は仕事とは別のところで、地道に草の根レベルで障がい者スポーツと関わるしかないのかな、と思いますが、今のところはそれでも関われるだけありがたい、という気持ちもあります。

 

 

とにかく全国からわざわざ静岡県までやってくるだけの熱い方々とお会いできただけでも大きな収穫でしたし、また明日から考えながら仕事やスポーツ活動に取り組めそうです。

 

観光する時間はありませんでしたが、緑茶割り飲んで黒はんぺん焼きを食べたってことで静岡を満喫できました。

来年は11月末に鹿児島で。その頃に自分がどこにいるか分かりませんが、福岡に帰っていれば近いですし、静岡以上に鹿児島は久しぶりなので、来年を楽しみに待ちたいと思います。

 

あっという間に東京駅に着きました🚉