スーパーヒューマン誕生!
東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻教授である稲見昌彦先生の
スーパーヒューマン誕生!を読みました。
スーパーヒューマン誕生! 人間はSFを超える (NHK出版新書)
- 作者: 稲見昌彦
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/02/09
- メディア: 新書
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人間拡張工学の最前線に迫る!っていうから最新の義足や義手のなどの話かと思って買いましたが、そんなシンプルな話ではありませんでした。
もともとは「補綴」から始まったそういった技術は今では「拡張」へと変遷を遂げ、その領域は更に拡大してきています。
例えば、失われた視覚を補う形で発展してきたメガネ、という技術は今では仮想現実VRや拡張現実感ARなど、見えてるものをよく見えるようにするだけではなく、今まで見ることができなかったものを見ることができる技術に発展しています。
そういった五感や身体などの拡張工学が進んでいくと、「いったい、どこまでが自分なのか?」という問題も出てきます。
マトリックスや攻殻機動隊のように「今、現実だと思ってたことが実は仮想現実だった!」なんてことも本当に起こりうるのです。
そういった身体性の変化や人の認知機能にまで話は触れられており、ただの最新技術を紹介した本ではありませんでした。脳科学の本に近い感じ。
いろいろな技術の歴史や最新情報にまで触れられていますし、それを分かりやすくSF映画やアニメで例えてくれるのでイメージしやすく読み進められます。(攻殻機動隊は見たことがなかったから今回を機に観ましたが…)
読んでいて感じたことは、理学療法との親和性が高いなってことです。
関節や筋肉の機能に注目してリハビリテーションを行なったいた時代から、脳科学を中心としたニューロ・リハビリテーションへと変遷を遂げた理学療法と、人間拡張工学はよく似ているように思います。
そして、こういったテクノロジーと人間を結びつけていくのは理学療法士の今後の役割になるんじゃないかと思います!
例えば、脳梗塞で損傷を受けた運動機能や感覚機能を人間拡張工学の力で補っていくことができるようになるとして、その過程でリハビリテーションは必要です。
再生医療に関しても同様かと思いますが、再生医療と人間拡張工学はどちらがより現実的なのでしょうか。
脊髄損傷後、再生医療で損傷した脊髄を再生させるのか、失われた機能をテクノロジーで補っていくのか。
自己決定にも大きな影響を及ぼしてきそうです。
テクノロジーとリハビリテーションについて考えていくとてもいいきっかけになる本でした!
ふと思いましたが、義足は進歩している一方で、片麻痺の装具…進歩してなさすぎるんじゃないの?
シューホン、オルトップ、金属支柱付き…僕が学生の頃から変わってないし、もっと前からずっと同じデザインですよね?ゲイト・ソリューションが出てきたとはいえ、未だによく見かけるプラスチック装具達…もっとどうにかならないの?
当面、僕のリハビリテーション対象は脳梗塞片麻痺であるのでもっと装具について勉強していきたい。
というわけで土曜日は東京で脳血管障がいの装具カンファレンスへ!